「眠れない」それは脳とホルモンの働き
ホルモンとは脳が発した命令を体に伝達するための科学物質。ホルモンにはいくつか種類がありますが、睡眠と関係が深いホルモンは覚醒ホルモン「コルチゾール」、眠りの質を高める「メラトニン」そして「成長ホルモン」の3つです。
覚醒ホルモン「コルチゾール」
目覚めを司るホルモンで、起床の3時間前から分泌されはじめ、起床時に分泌量が最大になります。目覚めがすっきりしない。寝起きがが悪いのはこのホルモンが正しく分泌されていないからです。面白いことにこのホルモンは睡眠をしてもしなくても、ほぼいつも同じ時間帯に分泌されます。
睡眠の質を高める「メラトニン」
眠気を誘発し睡眠を充実させる睡眠のリズムを司るホルモンです。このホルモンは「光」に弱く、光を感知すると分泌量は減り、暗いほど分泌量が増えます。つまり、太陽が昇る朝は、コルチゾールが多く分泌され、日が沈む夜にメラトニンは増える。という相関関係が、睡眠のリズムを作り出します。寝起きが悪い方は、まず太陽を見てください。バッチリ目覚めますから、これで二度寝は防げます。
年齢が高くなると寝付けない
メラトニンの分泌量は、幼少の頃にそのピークを迎え、年齢を重ねるごとに分泌できる量が減ります。だから高齢になるほど寝付けないとか、眠りが浅くなるという症状が出ます。
睡眠時間が短くなるのはメラトニン分泌量減少による影響もあります。
「寝る子は育つ」成長ホルモンのおかげ
成長だけでなく、やる気、活動量(疲れ)とも関係が深いのが成長ホルモン。「運動」「空腹」「低血糖」「心理ストレス」そして「睡眠」がこのホルモンを分泌させます。分泌を促す5つ要因の中でも最も影響が強いのが睡眠であり、睡眠が深いほど分泌量が多くなります。
成長ホルモン減少による問題
- 自覚症状
疲れやすい。やる気が出ない。体力がないと感じる。落ち込むことが多くなった。集中が続かない。
- 身体への変化
皮膚がカサカサ。体毛が薄くなった。骨量が減った。筋力低下。体脂肪増加。
寝室は暗くすることがポイント
睡眠の深さ、質を司るのはメラトニンですから、就寝時は「寝室を暗くする」ことがポイントになります。暗いことが成長ホルモンの分泌を促し、成長だけでなく疲労回復そして「やる気」へと繋がります。
成長ホルモンは寝付きから3時間後に最も多く分泌されます。時間との関係性が深いという点では「コルチゾール」と同じですが、コルチゾールは睡眠の有無に関係がなく同じ時間に分泌されるのに対して、成長ホルモンは、寝付きの時間との相対にあることが大きく異なります。
「美しい」「若々しい」を促進するメラトニン
特に女性はご存じだと思いますが、酸化が老化を招きます。メラトニンには強い抗酸化作用があり、メラトニンの抗酸化作用は、抗酸化物質の中でも最も強力です。昼間に受けた体のダメージを回復と睡眠を司るとても大事なホルモンです。
メラトニンの主な効果
深部体温を下げる。このことが睡眠を誘発します。そして2つ目は呼吸や心拍数および血圧を低くする働きがあります。副交感神経に働きかけ「気持ちを落ち着かせる」効果があります。
睡眠とは何?
睡眠とは回復と成長に欠かせない生理現象です。ホルモンと深い関係にあり、その相関関係は、下のようになります。
日が沈み暗くなる➡メラトニン増加➡眠気➡若返り作業➡成長ホルモン増加➡回復作業➡コルチゾール増加➡活動の準備➡目覚め