変化量
音量10の音を聞きながらボリュームを1上げて11にしました。この時に音が大きくなったと感じた増加分と、音量20から同じ1ボリュームを上げて21にしたときの人が感じ取る増加量は同じではありません。20から21への変化は非常に少ないと感じます。増加した音量は等しく1なのになぜこのような起こるのでしょうか。
一見不思議な事ですが、割合に着目すると合点がいきます。上げた音量1が占める割合は、音量10だと10%の変化量ですが、音量20だと半分の5%の変化でしかありません。実は、人の耳は相対で音量を決めます。人は自分の中に尺度を持っていません。
変化量の話を防音工事に置き換えると、50デシベルからの5デシベル防音してもその効果は感じ難く、40デシベルからの5デシベルはその効果を確認しやすいとも言えます。防音カーテンが聞かないというご相談をよくいただきますが、それはそもそも音量が大きい事が多々あります。
車の音量が、日中と夜で変わる!?
昼間は全く気にならないが夜になると家の前を通り抜ける乗用車の音が聞こえて喧しい。このご相談を住宅地にお住まいの方ら時々いただきます。車が発する騒音は時間には関係がなくいつでも同じはずです。ではなぜこのように聞こえるのでしょうか。
これも自分の中に尺度をもっていない事=音は何か相対でとらえる事に着目するとわかります。昼間と夜の違いは何かを推察すればわかります。
昼間と夜では人の活動が違うので、車が通っていない時の音量は夜のほうが静かなはずだと推察できます。夜になると車の音が大きく感じるのは、音のONとOFFの音量差が大きくなるからです。
「騒音計の数字は検討しなければならないたくさんの評価のたった一つでしかない。」と渡井がいつも言っている理由の一つが以上のようなことです。
物理量と感覚量
何かと比較しての相対なのだから、乱暴に言えば「何か」はなんでもありで、ものすごい数になります。
そして、このページの冒頭の設問の評価は「割合」だったのに、2つ目の設問の評価は「音量差」と別の方法になります。音の評価方法(感じる方法)はたくさんあります。ですからお客様の耳はいったいどの方法で音を評価しているのか。それさえ判れば、ちゃんとお客様を理解することも、解決の糸口もみつかるのにと私は毎回苦戦しています。