ペアガラスは静かなの? ぺガラスの防音性能

ペアガラスは今では当たり前のよう使われるようになり、戸建て(一軒家)の新築においてはほぼ100%とという普及率です。このガラスを二重ガラスとおっしゃる方もいらっしゃいますが、二重ガラスには合わせガラスもありますので、また、このガラスを二重窓と勘違いされている方もいらっしゃいますので、念には念を入れて、今一度図でペアガラスを確認したいと思います。

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そもそもは断熱のガラスです

ペアガラスは外側のガラスと室内側のガラスとの間に空間を持たせたガラスです。このガラスの目的は「断熱」と呼ばれる、屋外の熱を室内に伝えにくくするためのガラスです。冬であるなら、お部屋の中の暖房の暖気を屋外に逃がさないようにするガラスであり、逆の夏には屋外の暑さを室内に侵入させにくくするガラスです。

見た目は防音効果がありそう

このガラスは防音性能が高いと一般的には理解されているようです。ガラスが二重になっていますし、厚みが18ミリありますから、1枚ガラスに比べて防音に効きそうですが、見た目に騙されずに、本当にそうなのか?を検討してみます。

ペアガラスの防音性能を検証 ①

最も生産量が多いと思われるペアガラスは透明3ミリガラス+中空12ミリ+透明3ミリのペアガラスです。窓のサイズで言えば「腰高窓」と呼ばれる大きさの窓までカバーできます。

ガラス寸法で高さ1.3m×幅0.9mぐらいなら、台風が直撃しても3階までなら大丈夫とされているガラスです。ではこのペアガラスで検証してみます。

ペアガラスの防音性能表

窓ガラス オクターブバンドごとの防音効果の平均値 T値
(Ts等級)
3ミリガラス 25dB T-1(Ts-25)
ペアガラス
(3ミリ+中間層12ミリ+3ミリ)
20dB  

表を解説します

いきなり、見慣れない表が出てきましたので、解説をさせて頂きます。

一番左の列はガラスの種類です。「単層3ミリガラス」と「内側も外側も3ミリガラスを使ったペアガラス」です。なおペアガラスの中間層は12ミリです。

左から2列目は、1オクターブバンド幅で計測した数値の平均数値です。オクターブとは、低い方の「ド」から高い方の「ド」の1つ手前の「シ」までの音階を1グループとする単位です。この周波数帯で計測。そして、次の1オクターブまでを2つ目のグループとして束ねて音量計測。都合6回=6オクターブの音階(音域・音程)にわたる計測値の平均値です。

左から3列目は窓の防音性能値です。T-1(Ts-25)とは「500Hzから上の周波数は25デシベル防音できる性能がありますよ。」という意味です。(細かくはまた別の話です)

窓の防音性能は500Hzの防音性能が基準です。
「T2サッシ(窓)」と聞くと、僕らは「500Hzから上の周波数帯は30デシベル落とせる。」と大雑把にその窓の防音力が分かるのです。ただし1000Hzで30デシベルは落とせる事はわかりますが、果たして何デシベル落とせるのかはわかりません。30デシベルかもしれませんし、38デシベルかもしれません。

住宅における一般的な窓(アルミサッシ)はおおむねT-1の性能を有します。防音サッシと呼ばれるものはそれ以上、つまりはT-2(Ts30等級)性能を有するかそれ以上の防音性能を持っている窓を呼んでいます。

いきなり結論!?

もうお分かりですね。ペアガラスはこの表を見ただけでも、3ミリ1枚ガラスよりも防音性能が劣ることがわかります。(空欄は基準に満たないことを表しています)

たった5デシベル? 思いのほか少ない

「いや確かにペアガラスのほうが3ミリ単層ガラスと比べて性能は低いというけれどたった5でしょ。」

確かにそのように見えますが実は1.8倍の音量(音圧)差です。人の可聴音圧領域は0.00002パスカルから20パスカルと100万倍も差があります。これだと桁が大きすぎてよくわからないので対数で数字を扱います。音の単位でもあるデシベルdBは、パスカルPaを対数に直したものです。(高校生の時に学んだlog計算です)
デシベルを逆変換して、(対数のフィルターを外して)日常生活に馴染みのある数値に直すと下のようになります。

デシベル差 倍率
0デシベル 1倍
6デシベル 2倍
10デシベル 3倍
20デシベル 10倍
40デシベル 100倍
60デシベル 1000倍

以上、カタログスペック表によく記されているデータから防音性能を検討してみました。次頁ではもう少しく詳しくペアガラス(3ミリガラス+中空12ミリ+3ミリガラス)と、単層3ミリガラスを比較して検討してみたいと思います。

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